2025年7月15日、国内タイヤメーカー最大手のブリヂストンから、新たなスタッドレスタイヤ「BLIZZAK WZ-1(ブリザック ダブリューゼットワン)」が発表されました。
ブリザックシリーズといえば、北海道や北東北といった厳しい冬道を走る地域で絶大な支持を集めており、タクシー業界でも高い装着率を誇る実力派ブランドとして知られています。
今回のWZ-1は、そうした信頼の積み重ねを背景に、従来モデルを超える「安全性」「耐久性」「環境性能」を目指して開発されました。

公式発表によると、乗用車向けとしては初めて「ENLITEN(エンライトン)」という次世代設計技術を採用。
この技術はすでに高級タイヤ「REGNO(レグノ)」に使われているもので、グリップ力と燃費性能のバランスを高いレベルで両立できる点が注目されています。

ブリザックの技術発砲ゴムはスポンジのイメージで水を吸い取ります




BLIZZAK WZ-1の基本仕様


BLIZZAK WZ-1の発売は、2025年9月1日から順次スタートします。
タイヤサイズは、コンパクトカーから大型SUVまで幅広く対応できるように、なんと119サイズが用意されています。サイズ展開の幅は、145/80R13から255/45R22までとかなり広く、多くの車種にフィットする点が大きな魅力です。
価格はサイズによって異なり、1本あたり13,970円から148,500円という設定。決して安くはない価格帯ですが、そのぶん性能の進化を考えると納得できる内容となっています。
なお、特定のサイズに関しては2025年12月の発売が予定されているため、購入を検討している場合はあらかじめ販売スケジュールを確認しておくことをおすすめします。
新型タイヤの導入により冬道での安全性はもちろん、車両とのマッチング幅も広がるため、多様なニーズに対応可能な1本といえるでしょう。



サイズによっては12月に発売の場合もあるのでご注意ください。
ブリヂストンBLIZZAK WZ-1 3つの特長


1. ブリザック史上「断トツ」のICEコントロール性
新商品WZ-1は、従来品VRX3と比較して驚異的な性能向上を実現しています:
- 氷上ブレーキ性能: 11%短縮
- 氷上旋回性能: ラップタイム4%短縮
- 車両挙動の安定性: 大幅向上
BLIZZAK WZ-1は、氷上路面における制動力と操縦安定性を飛躍的に向上させたモデルとして開発されています。
具体的には、旧モデルである「VRX3」と比較して、氷上ブレーキ性能が11%短縮されており急な停車が求められるシーンでも安心感が格段に高まっています。


また、氷上での旋回性能も4%改善されており、カーブや交差点での滑りにくさが実感しやすくなっています。特に、凍結した交差点や坂道での発進時には、ドライバーの不安を和らげる効果が期待できます。
さらに、車体の挙動を安定させる設計が取り入れられており横滑りやブレを抑えながらスムーズなコントロールが可能です。これにより、氷点下の過酷な条件でも安全かつ快適な走行が実現されます。
氷上性能の向上は、スリップ事故のリスクを減らし冬のドライブにおける「命を守る性能」として非常に重要な要素です。



イメージにはなりますがVRX3とさらに以前のモデルVRX2とのブレーキ性能の差は下記のとおりです。


2. BLIZZAK WZ-1はあらゆる路面で高いパフォーマンス
BLIZZAK WZ-1は、日本の冬に特有のさまざまな路面状況に対応できるように設計されています。
例えば、降雪直後の新雪、気温の上昇で解け始めたシャーベット状の路面、さらには雨の降る日や乾いたアスファルトに至るまで、さまざまな路面変化に対して安定した性能を発揮します。
その秘密は、「WZ Motionライン」と呼ばれる独自のトレッド設計(タイヤパターン)にあります。このライン構造により、タイヤが路面と接する面積が最適化され、接地時の圧力が均等に分散。これにより、発進時やブレーキ時のグリップ力が大幅に向上しています。
さらに、ロングステイブルポリマーという特殊なゴム素材を採用したことで、長期間使用しても硬くなりにくく、氷上でもしっかりとした柔軟性が保たれます。この構造により、経年劣化による性能低下が抑えられ、タイヤの寿命も向上しています。
また、ウェット性能についても、シリカを増量することで濡れた路面でも滑りにくく、雨天時のグリップ力が向上。加えて、静粛性や乗り心地の快適性にも配慮されており、乾いた道路でも不快なノイズを抑え、長距離ドライブでも快適な走行が楽しめます。
3. 長期性能維持でサステナビリティ貢献
BLIZZAK WZ-1のもうひとつの注目ポイントは、長期間にわたって高い性能をキープできる点にあります。
これまでのスタッドレスタイヤでは、使い始めてから年数が経過するとゴムが硬化し、グリップ力が落ちてしまうことが一般的でした。ですが、WZ-1はロングステイブルポリマーという特殊なゴム素材を採用したことで、時間が経っても柔軟性を維持。
その結果として、4年使用後でも従来品の新品時以上の性能を発揮するというテスト結果が得られています。これはタイヤ選びにおいて非常に大きな安心材料となる要素です。
また、性能が長持ちするということは、頻繁なタイヤ交換の必要がなくなり、結果として廃棄物の削減につながります。長期使用を可能にすることで、廃棄時の環境負荷を軽減し、タイヤ業界としてのサステナブルな取り組みにも貢献しています。
コスト面でも、タイヤを長く使えることは大きなメリットです。交換回数が少なくなることで、結果的にランニングコストを抑えることができ、家計にも優しい選択となります。


ブリヂストン新商品スタッドレスタイヤWZ-1革新技術




BLIZZAK WZ-1新トレッドパターン


BLIZZAK WZ-1には、冬道での性能を根本から支える新しいトレッドパターンが採用されています。
このモデルでは、業界初となる親水性向上ポリマーをゴムに配合。氷上でタイヤと路面の間にできる水膜を素早く拡散させ、滑りの原因を最小限に抑える効果が得られます。水をはじくのではなく、あえて水に“なじむ”性質を活かして、路面との密着性を高めるという新発想の技術です。
さらに注目すべきは、「L字タンクサイプ」と呼ばれる独自の溝構造。このサイプが氷の上でも水の侵入を抑え、接地面をしっかり確保します。曲がりくねったL字構造によって、溝の中に水を閉じ込めながら排水性を高め、ブレーキ時の安定性が向上します。
そして、トレッド全体のブロック剛性を最適化することで、タイヤの接地圧が均等に分散されるよう設計されています。これにより、タイヤ全体が路面にしっかりと密着し、滑りや偏摩耗を防ぎながら、高いグリップ性能を維持できます。
このように、WZ-1のトレッドパターンは、見た目にはわからない細部まで工夫が施されており、氷雪路でも安心して走行できるよう徹底的に設計されています。
Wコンタクト発泡ゴム
BLIZZAK WZ-1に採用された「Wコンタクト発泡ゴム」は、氷上でのグリップ性能を根本から強化するために開発された革新的な素材です。
このゴムは、ブリヂストン独自の技術により、無数の微細な気泡を含んでおり、まるでスポンジのように水を吸い取る性質があります。これが氷の上にできる薄い水膜を効果的に取り除き、タイヤと路面がしっかり密着する状態を生み出します。
「Wコンタクト」という名前が示す通り、この素材は二重の働きを持っています。ひとつは、タイヤの溝による物理的な排水。もうひとつは、ゴム内部の気泡による吸水。この“ダブルの水処理機構”によって、氷の上でも驚くほどの制動力を発揮します。
さらに、今回のモデルでは新しい材料を配合することで、水膜を取り除いたあとの“乾いた氷”との密着力も向上しました。微細な摩擦を発生させる素材特性により、タイヤのグリップがしっかりと保たれ、滑りを抑える働きが高まっています。
こうした多層的な工夫によって、BLIZZAK WZ-1は極寒環境においても安心してブレーキをかけられる性能を実現しており、雪道ドライバーにとって非常に頼れる存在となっています。


ブリヂストン新商品スタッドレスタイヤBLIZZAK WZ-1プロドライバー評価


BLIZZAK WZ-1は、実際に雪道を走る現場のプロフェッショナルたちからも高い評価を得ています。
特に、積雪地帯で長年ハンドルを握るプロドライバーたちは、スタッドレスタイヤの「微妙な違い」を走りの中で感じ取ります。そうした声の中でも、「氷上でのブレーキの効きが格段に良くなった」「発進時のもたつきがなくなった」といった意見が多く聞かれます。
また、WZ-1は新素材と新パターンの組み合わせにより、走行中の安定感や静粛性も向上しており、「長距離移動が前より疲れにくくなった」という評価も寄せられています。
とくに、タクシーや配送など日常的に雪道を走行する職業ドライバーにとっては、安全性だけでなく「信頼して使える安心感」が何より重要。ブリヂストンの新モデルは、その信頼を裏切らないクオリティに仕上がっています。
プロの現場で実際に使用された評価が高いことは、スペック表では見えないリアルな信頼性を物語っています。WZ-1は、数値的な性能進化だけでなく、実走行の中でも確かな効果を証明しているタイヤです。
ブリヂストンブリザックシリーズの市場での実績


ブリヂストンのBLIZZAK(ブリザック)シリーズは、長年にわたりスタッドレスタイヤ市場で圧倒的な信頼を築いてきたブランドです。
たとえば、日本国内の過酷な冬道環境として知られる北海道や北東北地域の主要5都市では、なんと24年連続で装着率No.1を記録しています。特に札幌市のタクシー業界では、ドライバーたちが毎日の走行で命を預ける装備として、ブリザックを選び続けています。
さらに、グローバルな視点で見ても、BLIZZAKシリーズの累計出荷本数は3億6千万本を突破。これは、日本だけでなく世界中の雪国ユーザーから厚い支持を集めている証です。
なぜここまでの実績を残せているのか。その理由は、氷雪路に特化した性能を徹底して追求し、進化を止めない開発姿勢にあります。毎年のようにフィードバックを取り入れ、テストを重ねることで、常に最新・最高の性能を持つタイヤとして進化を続けてきました。